好きな歌手。

ここ最近、宇多田ヒカルのドキュメンタリー番組を見た。どちらもNHKの番組で、1つは「SONGS」で、もう1つは「プロフェッショナル仕事の流儀」だった。昔は、宇多田ヒカルを好きではなかったが、「道」を聴いてから、好きになって通勤中などによく聴いている。そのドキュメンタリー番組では、宇多田の曲作りの考え方や仕事の哲学に迫るもの。そのなかで印象に残るシーンがあった。

 

まず、曲つくりの考え方。

誰かが私の音楽を、ヘッドホンをして部屋で1人で聴いてるみたいなイメージしかできないんです。私と、私じゃない誰かとの関係しか想像できない。

宇多田が冒頭の幼少期の話の中で「本を読むことによって作者(誰か)と繋がることができる気がして、それに救われていた」と述べていた。

他者とのつながりを意識した曲が多いというところも好きなところだ。

つぎに、仕事への向き合い。

仕事をする時1人で過ごすことが多いらしい。

「自宅で誰もいない状態で一人で曲を書いたり、編曲したりというのが、私の仕事の時間的に一番長いところ。いろいろ弾いてみて、これと思ったらその感覚をたぐり寄せてというか、全く自分の中にないものやない場所に行くとか作るということはないんですよね。だから自分の中にあるんですけど、触れないものを取り出すみたいな。思い出そうとしていて、何かを。“いや違う、それじゃない”という感覚に一番近いです」

とにかく孤独な作業だと思うが、1人で感情と向き合う姿勢は職人気質でカッコイイ。それに

加えて、仕事観を話すシーンも良かった。

正直であること。自分と向き合うっていうのは、そういうことですね。自分に嘘ついててもしょうがないけど、でも自分にいっぱい嘘つくじゃないですか。見なくていいものは見ないし。……っていうのじゃなくて、かっこ悪いことも恥ずかしいことも認めたくないことも全部含めて、自分と向き合うということなので。音楽に対して正直であることですね。自分の聖域を守るっていうことです。

自分の気持ちに向き合いながら、孤独な時間を大切にしていくところ。他者とのつながりをテーマにして曲を作っているという話を聞いて、もともと曲も好きだったけど、曲つくりの姿勢を知れて、より魅力的な人だなと感じるようになった。